エステティック業界は、専門的な知識と技術に基づく「サービス業」として広く認識されていますが、その運営には複数の監督省庁が関わっており、関連法規や規制が複雑です。そのため、美容サロンは関連法規を理解し、法令を遵守することが求められます。
協会では、業界の慣行や専門知識に精通したアドバイザーが、特定商取引法に基づく文書や取引に必要な書類のリーガルチェック、ひな形の提供、オリジナル書面の作成を支援しています。
口頭契約は、その内容が明確に記録されないため、トラブルの原因となる可能性があります。したがって、書類による記録または電子記録(メール、SMS、SNS)での保管が重要です。

協会では加盟サロンに対し、以下の書類を提供しています。

概要書面および契約書
これらは、特定商取引法に基づく特定継続的役務提供の取引に必要な書類です。概要書面はサービスの内容や条件についての情報を提供し、契約書は取引の詳細な条件を定め、契約を締結するためのものです。(本書はカーボン紙が使用されていないため、複写形式ではありません。)

推奨商品購入申込書
推奨商品とは、特定継続的役務提供の契約とは独立して提供される商品です。推奨商品を販売する際には、通常の販売契約に基づき美容サロン側の返品ポリシー等が適用されます。そのため、顧客にはクーリングオフや中途解約の対象外であることに同意してもらい、推奨商品購入申込書に注文内容や顧客情報を記録して購入手続きを行うことができます

サービス期間延長届け
何らかの理由によりサービスの提供期間を延長する場合に使用される書類です。
例えば、妊娠や病気、長期の海外出張など、特別な事情がある場合は、店舗の判断でサービスの提供期間(有効期間)を延長することがあります。
延長の可否、延長期間、条件などは店舗の裁量によるため、「サービス期間延長届け」を交わして記録しておくことが重要です。これにより、後日トラブルが発生した場合に証拠として利用できます。

未成年者契約同意書
18歳未満の未成年者がサービスを利用する際に必要となる書類です。
未成年者がサービスを受けるためには、保護者や親の同意が必要であることを確認し、同意を取得するための文書です。

無料サービス確認書
美容サロンが顧客に対して提供するご優待券や無料券などの特典に関する条件を明確にした書類です。この文書では、無償サービスの内容やその回数、提供可能な時期、換金不可などの条件を顧客に確認させ、同意を得ることを目的としています。

美容施術明細書
特定継続的役務提供を対象としない契約の場合に交わす書類です。この文書には、施術の具体的な内容、時間、費用などを明示し、クーリングオフや中途解約の規制対象外の取引であることを記載し、顧客からの同意(署名)を得ることでトラブルを未然に防ぐことができます。その後、この書類は双方で保管することをおすすめします。

和解同意書
エステティックサロンでトラブルや紛争が発生した際、双方が合意に達し、問題を解決するために交わされる文書です。和解同意書には、トラブルの内容、合意した解決策、金銭の支払い条件、今後の対応などが詳細に記載されます。これにより、当事者間での争いを正式に終結させ、双方の権利や義務を明確にします。
和解同意書は、双方が署名することで法的効力を持ち、後日再び同じ問題が発生した際の証拠としても使用される重要な文書です。エステ業界では、顧客とのトラブルが円満に解決されたことを証明し、再発防止のためにもこの文書を活用します。

サポートの手順
協会ウェブサイトの「会員専用ページ」にログインし、「美容コンプライアンス(美容関連法規)」のページから、必要な書類をダウンロードできます。その他、リーガルチェックやオリジナル書面の作成をご希望の場合は、直接協会担当者までご連絡ください。